介護にまつわるお役立ちコラム
レビー小体型認知症の介護とは?介護認定の意味や介護施設について解説

レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状が特徴的で、介護負担が大きくなりやすい認知症の一種です。アルツハイマー型認知症とは異なる症状と進行パターンを持つため、適切なケア方法も異なります。症状の特性を理解し、適切な介護サービスを選ぶことで、本人の生活の質を維持し、介護者の負担を軽減することが可能になります。
この記事では、レビー小体型認知症の症状や進行過程、介護認定の受け方、適切な介護サービスの選び方について解説します。レビー小体型認知症の家族を介護している方や、これから介護が必要になる可能性のある方が、適切な知識を得て、より良い介護環境を整えるための参考にしていただければ幸いです。
1レビー小体型認知症の基本知識と特徴

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症とともに「三大認知症」の一つに数えられる認知症の一種です。日本における認知症全体の約20%を占めており、アルツハイマー型認知症(約60%)に次いで2番目に多い認知症タイプです。
この認知症の名前の由来となっている「レビー小体」とは、脳内に蓄積する異常なタンパク質の塊のことで、神経学者のフリードリヒ・レビーにちなんで名付けられました。このレビー小体が脳内の神経細胞に蓄積することで、さまざまな症状が引き起こされます。
レビー小体型認知症の大きな特徴として、年齢や性別による発症率の違いがあります。特に70〜80歳代の高齢者に多く発症し、性別では男性の発症率が女性の約2倍と言われています。この男性優位の発症傾向は、アルツハイマー型認知症が女性に多い傾向にあることと対照的です。
レビー小体型認知症の原因と発症リスク
レビー小体型認知症の原因は、αシヌクレインという主成分を含む「レビー小体」というタンパク質の蓄積です。これらのタンパク質が脳内に蓄積すると、脳細胞が変性し、脳機能が低下します。
具体的には、レビー小体が大脳皮質や脳幹部などさまざまな部位に広がることで、認知機能の低下やパーキンソン症状など、多彩な症状を引き起こします。レビー小体が発生するメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境要因などが複雑に絡み合っていると考えられています。
特に、パーキンソン病の既往歴がある方は、レビー小体型認知症を発症するリスクが高くなると言われています。
レビー小体型認知症の主な症状と進行過程
レビー小体型認知症は進行に伴い、症状が段階的に変化していきます。各段階での主な症状を以下の表にまとめました。
進行段階 | 主な症状 |
初期症状 | 幻視、パーキンソン症状、自律神経症状、レム睡眠行動障害 |
中期症状 | 認知機能障害の進行(記憶障害、見当識障害など) |
後期症状 | パーキンソン症状の悪化、転倒リスクの増加、嚥下機能低下 |
レビー小体型認知症の特徴的な症状として、以下の5つが挙げられます。
- 幻視
レビー小体型認知症の代表的な症状で、発症初期から現れることが多いです。実際には存在しない人や動物、虫などが見えるという症状です。アルツハイマー型認知症ではあまり見られない症状であり、レビー小体型認知症の診断における重要な手がかりとなります。
- パーキンソン症状
手足の震え、筋肉のこわばり、動作の緩慢さ、小刻み歩行、前傾姿勢などが特徴です。これらの症状により、転倒リスクが高まります。
- 自律神経障害
めまい、立ちくらみ、排尿障害、便秘、異常発汗などの症状が現れます。特に、立ち上がる際に血圧が下がる「起立性低血圧」は、転倒や意識消失の原因となることがあります。
- 記憶障害
アルツハイマー型認知症と異なり、レビー小体型認知症の初期では記憶障害はあまり目立ちません。しかし、病気の進行とともに記憶障害も現れるようになります。
- レム睡眠時行動障害
通常、レム睡眠中は筋肉が弛緩して体が動かなくなりますが、この障害では眠っている間に大声を出したり、暴れたり、足や腕を動かしたりします。レビー小体型認知症の約75%の方に見られる症状です。
注目すべき点として、アルツハイマー型認知症では発症初期から記憶障害が目立ちますが、レビー小体型認知症では幻視やパーキンソン症状が先行し、記憶障害は比較的軽度であることが多いという違いがあります。
2レビー小体型認知症の治療とケア方法

現在、レビー小体型認知症を根本的に治療する方法はまだ見つかっていません。このため、治療の主な目標は症状の緩和と進行の遅延に置かれています。レビー小体型認知症の治療には、大きく分けて薬物療法と非薬物療法(理学療法)の2種類のアプローチがあります。
治療の主な目標としては以下のようなものが挙げられます。
- 認知症の進行を遅らせること
- 幻視やパーキンソン症状などの特徴的な症状を軽減すること
- 認知症により低下している脳機能や使われていない神経細胞を刺激すること
- 患者に自信や生きがいを感じてもらうこと
- 不安を軽減し、安心感を与えること
これらの目標を達成するためには、医師による適切な診断と治療計画が不可欠です。また、患者の状態や症状の変化に応じて、治療内容を柔軟に調整していくことも重要です。特にレビー小体型認知症は症状の変動が大きいため、継続的な観察と対応が必要となります。
薬物療法のポイントと注意点
薬物療法では、主治医の診察・指示のもとで処方された薬を服用します。患者の症状に応じて、以下のような薬が処方されることがあります。
- 記憶障害や認知機能障害に対する薬:コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなど)
- 幻視などの精神症状に対する薬:非定型抗精神病薬(少量から開始)
- パーキンソン症状に対する薬:レボドパ製剤、ゾニサミドなど
- 自律神経障害による症状(便秘など)に対する薬
- レム睡眠時行動障害に対する薬:漢方薬(抑肝散)など
レビー小体型認知症の患者の脳内では「アセチルコリン」という神経物質が減少しています。アセチルコリンが減少すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなるため、コリンエステラーゼ阻害薬を用いてアセチルコリンの分解を抑制し、脳内濃度を高める治療が行われます。
ただし、レビー小体型認知症の特徴として、薬に対して過敏に反応しやすいという点があります。特に注意が必要な薬剤としては、睡眠薬、風邪薬、胃腸薬、抗精神病薬、過活動膀胱治療薬などが挙げられます。
薬に過敏に反応した場合、以下のような症状が現れることがあります。
症状の種類 | 症状例 |
身体的症状 | めまい、ふらつき、転倒増加 |
認知機能障害の悪化 | 服用前よりもできないことが増えた |
精神状態の悪化 | イライラの頻度が増えた |
自律神経症状の悪化 | 便秘になった |
パーキンソン症状の悪化 | 身体の動きが硬くなった |
薬物療法を行う際には、これらの副作用に注意し、様子を見ながら治療を進めることが重要です。
非薬物療法と日常生活での工夫
非薬物療法(理学療法)では、薬を使用せずにさまざまなアプローチでレビー小体型認知症の症状の改善を目指します。
治療法 | 内容 | 効果・目的 |
運動療法 | 散歩、ストレッチなど | パーキンソン症状の緩和、転倒予防 |
日常活動 | 買い物、家事など | 認知機能の維持、生活リズムの安定 |
回想法 | 思い出を話す、会話を楽しむ | 自己肯定感の向上、心理的安定 |
認知機能訓練 | 計算、パズル、トランプなど | 認知機能の維持・改善 |
音楽療法 | 懐かしい音楽を聴く、楽器演奏 | 情緒の安定、コミュニケーション促進 |
日常生活でのケアのポイントとしては、症状ごとに適切な対応が必要です。
【幻視・錯視への対応方法】
- 否定せず、まずは話をじっくり聴く
- 不安を解消するような声かけを行う
- 症状を引き起こしている可能性のあるものを片づける
- 部屋が暗いと症状が出現しやすくなるため、適度な明るさを保つ
- 幻視で見えているものが危害を与えないことを伝える
- 散歩など気分転換を提案する
【睡眠時の異常行動への対応方法】
- 無理に起こさず、安全を確保して見守る
- ベッドの高さを低くしたり、転倒防止のために障害物を取り除いたりするなどの環境整備を行う
- レム睡眠からノンレム睡眠に移行するのを待つ
【うつ症状への対応方法】
- 否定や叱責をせず、まずは話を聞く
- 趣味や楽しめる活動を提案する
- 規則正しい生活リズムを維持する
【パーキンソン症状への対応方法】
- 転倒リスクを考慮し、歩行を急がせない
- 突然声をかけて驚かせない
- 服を引っ張るなどしてバランスを崩させない
- 介助時は、転倒しても支えられる位置にいる
3レビー小体型認知症の介護認定と要介護度

レビー小体型認知症の方が適切な介護サービスを受けるためには、介護保険制度を利用することが重要です。そのためには、まず要介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、日常生活における介護の必要度を客観的に数値化し、介護サービスの利用資格や範囲を決定するプロセスです。特にレビー小体型認知症のような進行性の疾患では、症状の変化に応じて定期的に再認定を受けることが大切になります。
レビー小体型認知症の特徴である幻視やパーキンソン症状は、要介護認定の調査項目に直接反映されにくい場合があります。そのため、これらの症状による日常生活への影響を調査員に正確に伝えることが、適切な要介護度の認定につながります。また、レビー小体型認知症特有の「症状の変動」についても、良い時だけでなく悪い時の状態もしっかりと伝えなければなりません。
要介護認定の区分は、要支援1・2と要介護1~5の計7段階に分かれています。要支援は日常生活での部分的な支援が必要な状態、要介護は日常生活全般に介護が必要な状態を表し、数字が大きくなるほど介護の必要度が高くなります。レビー小体型認知症の場合、初期症状では要支援2~要介護2程度、中期症状では要介護2~3程度、後期症状では要介護3~5程度に認定されることが多いですが、個人差も大きいため一概には言えません。
認定された要介護度によって、利用できる介護サービスの種類や回数、自己負担額が決まるため、適切な認定を受けることが質の高い介護生活の第一歩となります。そこで、要介護認定の申請方法や流れ、レビー小体型認知症の特性が認定にどう影響するかについて詳しく見ていきましょう。
介護認定を受ける手順と必要書類
要介護認定を受けるための手順は以下のステップで進められます。
- ステップ1:申請の準備と提出
要介護認定の申請は、住んでいる市区町村の介護保険窓口(市役所や区役所など)で行います。レビー小体型認知症の本人が手続きをすることも可能ですが、認知症の症状により困難な場合は、家族や親族が代理で申請することができます。また、成年後見人や地域包括支援センターの職員なども申請を代行できる場合があります。
- ステップ2:訪問調査の実施
申請後、約1週間から10日程度で、市区町村の職員または委託された調査員が自宅や入院・入所先を訪問します。この調査では、本人の心身の状態を直接確認し、家族などから日常生活の状況についての聞き取りを行います。調査は、全国共通の「認定調査票」を用いて行われ、身体機能や認知機能、日常生活の自立度などの項目について評価されます。
- ステップ3:主治医意見書の作成
申請と並行して、市区町村から本人の主治医に対して「主治医意見書」の作成が依頼されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師が診察を行います。主治医意見書には、病名、医学的所見、認知症の程度、日常生活の自立度などが記載されます。
- ステップ4:一次判定(コンピュータによる判定)
訪問調査の結果は、全国共通のコンピュータプログラムで処理され、「一次判定」が行われます。この段階では、日常生活に必要な介護の手間を数値化し、要介護度の目安が算出されます。
- ステップ5:二次判定(介護認定審査会による判定)
一次判定の結果、主治医意見書、特記事項(調査員が記入した特別な状況)をもとに、医療・保健・福祉の専門家で構成される「介護認定審査会」で最終的な判定(二次判定)が行われます。特にレビー小体型認知症のような特徴的な症状を持つ場合、一次判定では正確に評価されないこともあるため、二次判定で調整されることがあります。
- ステップ6:認定結果の通知
申請から原則30日以内に、要介護認定の結果が通知されます。通知書には、「非該当」「要支援1・2」「要介護1〜5」のいずれかの区分と、認定の有効期間(原則12ヶ月、更新の場合は最長36ヶ月)が記載されます。
認定結果に不服がある場合は、市区町村の窓口で「不服申立て」をすることも可能です。特にレビー小体型認知症の症状が十分に評価されていないと感じる場合は、再審査を求めることを検討してもよいでしょう。
認定を受けた後は、ケアマネジャー(介護支援専門員)と相談しながら、適切な介護サービスの利用計画(ケアプラン)を作成し、サービスの利用を開始します。レビー小体型認知症の症状は変動しやすいため、状態の変化に応じて区分変更申請を行うことも大切です。
レビー小体型認知症の要介護度の目安
レビー小体型認知症の症状の進行段階ごとに、想定される要介護度と利用可能な主な施設は以下の通りです。
症状の進行段階 | 想定される要介護度 | 利用可能な主な施設 |
初期症状(幻視、パーキンソン症状など) | 要支援2〜要介護2 | グループホーム、介護老人保健施設 |
中期症状(認知機能障害の進行) | 要介護2〜3 | グループホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム |
後期症状(パーキンソン症状の悪化、嚥下機能低下など) | 要介護3〜5 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム |
レビー小体型認知症の特徴的な症状は要介護度判定に大きく影響します。パーキンソン症状による歩行困難や動作の緩慢さは日常生活動作の自立度を下げ、転倒リスクは常時見守りの必要性として評価されます。幻視は精神・行動障害として捉えられ、その頻度や混乱の程度によって要介護度が上がります。また、認知機能の変動やレム睡眠行動障害なども総合的に判断され、介護の必要度に反映されます。
認定される要介護度によって、利用できる介護サービスの種類や回数、限度額が決まります。要支援1・2では介護予防サービスが中心、要介護1・2では在宅サービスやグループホームの利用が可能になり、要介護3以上になると特別養護老人ホームへの入所資格が得られます。レビー小体型認知症は症状の変動が大きいため、調査時には良い時だけでなく悪い時の状態も伝え、実態に合った要介護度を受けられるよう心がけることが重要です。
4レビー小体型認知症に適した介護サービスの選び方

レビー小体型認知症の方の介護では、その特徴的な症状に対応したサービスを選ぶことが重要です。特に幻視やパーキンソン症状への対応には特別な配慮が必要となります。
介護保険で利用できるサービスの種類
介護保険で利用できる主なサービスを以下の表にまとめました。
分類 | サービス名 | 内容 | 特徴 |
在宅サービス | 訪問介護(ヘルパー) | 自宅に介護スタッフが訪問し、身体介護や生活援助を行う | 身体介護(食事、入浴、排泄など)と生活援助(掃除、洗濯、食事準備など)がある |
通所介護(デイサービス) | 施設に通い、食事や入浴、レクリエーションなどのサービスを受ける | 他者との交流や家族の介護負担軽減になる。午前から夕方までのサービス提供 | |
住宅改修サービス | 手すりの設置や段差解消などの住宅改修費用を助成 | 転倒予防に有効。一般的に20万円までが介護保険で補助される | |
施設サービス | グループホーム | 認知症の方が少人数で共同生活を送る施設 | 要支援2以上が対象。少人数制で家庭的な環境 |
介護老人保健施設 | リハビリテーションを中心とした施設 | 要介護1以上が対象。在宅復帰を目指す方に適している | |
特別養護老人ホーム | 常時介護が必要な方のための施設 | 要介護3以上が原則。待機者が多いことが課題 | |
介護付き有料老人ホーム | 民間が運営する介護サービス付きの住宅 | 終身利用が前提で看取りにも対応している施設が多い |
訪問介護(ヘルパー)では、自宅へ介護スタッフが訪問し、身体介護のほか生活援助までを行います。身体介護では食事、入浴、排泄といった介護を受けることができ、生活援助では食事準備や掃除、洗濯といった内容を代行してもらえます。
通所介護(デイサービス)は、他者との交流を目的としながら施設へ通い、食事や入浴介護サービスを受けることができます。午前中から夕方まで施設で過ごすため、家族は自分の時間を確保することが可能です。
住宅改修サービスでは、パーキンソン症状による転倒リスクを軽減するための手すりや段差解消、玄関スロープの改修費用を市区町村が一部負担します。一般的には20万円まで保険が適用されますが、自治体によって対象となる改修内容が異なる場合もあります。
レビー小体型認知症の症状に対応した専門サービス
レビー小体型認知症の特徴的な症状には、以下のような専門的なサービスやケア方法が有効です。
レビー小体型認知症の特徴的な症状 | 専門サービスを選ぶ際のポイント |
幻視 | ・認知症専門のデイサービスや専門スタッフがいるサービスを選ぶ
・幻視を否定しない対応ができるスタッフがいるかを確認する ・照明環境を調整できる施設を選ぶ |
パーキンソン症状 | ・理学療法士や作業療法士が在籍する施設を選ぶ
・バリアフリー化された環境の施設を選ぶ ・転倒予防のための見守りや移動介助が充実しているサービスを利用する ・住宅改修サービスを活用して、自宅の安全性を高める |
レム睡眠行動障害 | ・夜間の見守りサービスや緊急通報システムを導入する
・24時間対応の訪問介護サービスを利用する ・睡眠環境を整えるための助言が受けられる医療機関と連携したサービスを選ぶ |
自律神経障害 | ・排泄介助や入浴介助が充実したサービスを選ぶ
・食事形態を調整できる配食サービスやデイサービスを利用する ・体調管理を支援する訪問看護サービスを活用する |
レビー小体型認知症の方の介護では、これらの症状の特性を理解し、適切に対応できるサービスを選ぶことで、本人の生活の質を高め、家族の介護負担を軽減することができます。
5レビー小体型認知症の家族介護の限界と施設選び

レビー小体型認知症の介護は、その特有の症状により家族だけで対応することが次第に困難になるケースが少なくありません。幻視やパーキンソン症状、レム睡眠行動障害などの症状は、24時間の見守りや専門的な対応が必要となることがあり、家族の身体的・精神的負担は非常に大きくなります。特に症状が進行すると、転倒リスクの増加や身体介護の必要性が高まり、専門的なケアが求められるようになります。
家族介護には限界があることを理解し、本人と家族両方のQOL(生活の質)を維持するためにも、適切なタイミングで介護施設の利用を検討することが重要です。ここで、施設入所を検討すべきタイミングや、適切な施設の選び方について理解しておきましょう。
施設入所の判断ポイントと時期
施設入所を検討すべき主な判断ポイントとしては、まず患者本人の身体状態の変化があります。パーキンソン症状が悪化して転倒が頻繁になった場合や、自力での移動が困難になった場合は施設入所の検討時期です。幻視による混乱や不安が強くなり、一人で過ごすことが危険になった場合も同様です。夜間のレム睡眠行動障害が激しくなり、本人や家族の安全が確保できない状況も重要なサインとなります。
自律神経症状の悪化による排泄介助の増加や、嚥下機能の低下による誤嚥リスクの高まりなど、医療的なケアの必要性が増した場合も施設入所を考えるべきタイミングです。認知機能の低下が進み、服薬管理ができなくなったり、危険な行動が増えたりした場合も同様です。
介護者側の状況としては、慢性的な睡眠不足や体重減少、持病の悪化といった身体的な変化が見られる場合は注意が必要です。介護うつと呼ばれる精神的な疲弊や、仕事や家庭生活との両立が困難になった場合も、施設入所を検討すべきサインです。
重要なのは、限界が来る前に余裕をもって検討を始めることです。特に人気のある施設は入所待ちの期間が長いこともあります。本人の状態悪化や家族の介護限界を待たずに、早めに情報収集を始め、見学や体験入所なども活用しながら、慎重に検討しましょう。
レビー小体型認知症に適した施設の選び方
レビー小体型認知症の方が入所できる施設の種類と特徴は以下の通りです。
施設の種類 | 入所条件 | 特徴 | 適する状態 |
グループホーム | 要支援2以上、認知症の診断あり | 少人数(9人以下)の認知症の方が共同生活を送る。家庭的な環境で認知症ケアに特化 | 認知症の症状はあるが身体機能は比較的保たれている |
介護老人保健施設 | 要介護1以上 | リハビリテーションを中心とした中間施設。医療的ケアも可能 | パーキンソン症状へのリハビリが必要な状態 |
特別養護老人ホーム | 原則要介護3以上 | 常時介護が必要な方のための施設。終身利用が可能 | 重度の介護が必要で、在宅復帰が難しい状態 |
介護付き有料老人ホーム | 施設により異なる(自立〜要介護5まで) | 24時間介護スタッフが常駐。サービス内容や料金は施設により異なる | 経済的に余裕があり、質の高いサービスを希望する場合 |
介護施設の入所条件は要介護度によって異なり、要支援2以上であればグループホーム、要介護1以上であれば介護老人保健施設、要介護3以上であれば特別養護老人ホームへの入所が可能です。
グループホームは9人以下の少人数で共同生活を送る認知症専門の施設ですが、身体状況が悪化して寝たきりに近い状態になると医療的ケアや身体介護が十分に提供できないため、他施設への転居が必要になることがあります。一方、介護付き有料老人ホームは終身利用が前提の施設で、多くの場合看取りにも対応しているため、症状が進行しても住み替えることなく生活を続けることができます。
レビー小体型認知症の進行段階や経済状況に合わせて、最も適した施設を選ぶことが重要です。
24時間対応の介護サービス「イチロウ」の活用法

レビー小体型認知症の特有症状に対応するには、介護保険外サービスの活用が効果的です。「イチロウ」は24時間対応の訪問介護・看護サービスで、最短当日から利用可能な迅速さが特徴です。
イチロウには「介護コース」と「看護コース」があります。介護コース(日中3,190円/時間〜)では身体介護や家事支援、通院付き添いなどを提供。看護コース(5,500円/時間〜)は医療行為が必要な方向けで、バイタル測定やたん吸引、服薬管理などに対応します。
レビー小体型認知症で特に重要なのが夜間対応です。レム睡眠行動障害などの夜間症状は家族の大きな負担となりますが、イチロウは夜間帯(18:00〜翌9:00、3,828円/時間〜)も全サービスに対応しており、家族の休息確保に役立ちます。
介護保険では対応できない柔軟なサービス提供も強みです。幻視による不安への長時間の見守り、ペットのお世話や庭の手入れなども可能です。要介護認定の有無や介護度に関わらず利用できるため、認定申請中の方や初期段階の方にも適しています。
料金は時間単位の明確な設定で、必要な時間だけ利用できるため経済的負担を調整しやすく、ケアレポート機能により離れて暮らす家族も安心です。レビー小体型認知症の症状変動に対応する突発的なケアニーズにも柔軟に応えることができます。
6まとめ
レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状などの特徴的な症状を持つ認知症の一種です。症状の進行に伴い、介護の負担も増大していきますが、適切な知識と対応、そして必要なサポートを受けることで、患者と家族の生活の質を維持することが可能です。
要介護認定を受けて介護保険サービスを利用することで、さまざまな支援を受けることができます。また、症状の進行に合わせて、在宅サービスから施設サービスへと移行することも選択肢の一つです。
レビー小体型認知症の特性を理解し、それに適した介護サービスや施設を選ぶことが、患者本人と家族の負担軽減には欠かせません。特に、幻視への対応やパーキンソン症状による転倒予防、レム睡眠行動障害への対策は重要なポイントとなります。
介護保険サービスだけでは対応が難しい場合には、イチロウのような24時間対応の介護サービスを活用することで、より柔軟できめ細かなケアを受けることも可能です。家族の介護負担を軽減しながら、レビー小体型認知症の方の尊厳ある生活をサポートできるため、24時間対応の介護サービスをお探しの方はぜひイチロウの利用をご検討ください。
7よくある質問
レビー小体型認知症の介護を検討されている方からは、要介護認定の見込みや幻視などの特徴的症状への対応方法、家族介護の限界を感じた時の対処法について多くのご質問をいただきます。また、アルツハイマー型認知症との違いや、介護保険外サービスの活用方法についても詳しく知りたいという声が寄せられています。
ここでは、レビー小体型認知症の介護に関してよく寄せられる質問についてお答えします。
Q1. レビー小体型認知症ではどの程度の要介護度が認定されますか?
レビー小体型認知症の要介護度は症状の進行段階によって異なります。初期症状(幻視やパーキンソン症状)では要支援2〜要介護2程度、中期症状(認知機能障害の進行)では要介護2〜3程度、後期症状(パーキンソン症状の悪化や嚥下機能低下)では要介護3〜5程度に認定されることが多いです。ただし、レビー小体型認知症特有の症状の変動や幻視などは調査項目に直接反映されにくいため、調査時には良い時だけでなく悪い時の状態もしっかりと伝えることが重要です。適切な認定を受けるためには症状の実態を正確に伝えましょう。
Q2. レビー小体型認知症とアルツハイマー型認知症の違いは何ですか?
レビー小体型認知症の最大の特徴は、初期から幻視やパーキンソン症状(手足の震え、筋肉のこわばり、歩行困難)が現れることです。アルツハイマー型認知症では初期から記憶障害が目立ちますが、レビー小体型認知症では記憶障害は比較的軽度で後から現れます。また、レム睡眠行動障害(眠っている間に大声を出したり暴れたりする)や自律神経障害(めまい、立ちくらみ、排尿障害など)も特徴的です。症状の変動が大きく、良い時と悪い時の差が顕著なのもレビー小体型認知症の特徴で、これらの違いを理解することで適切なケアにつながります。
Q3. 幻視の症状にはどのように対応すればよいですか?
幻視への対応で最も重要なのは、否定せずにまず話をじっくり聞くことです。見えているものを無理に否定すると混乱や不安が増すため、まずは本人の気持ちに寄り添いましょう。部屋が暗いと症状が出現しやすくなるため適度な明るさを保ち、症状を引き起こす可能性のある影や物は片付けるなど環境整備も効果的です。幻視で見えているものが危害を与えないことを優しく伝え、散歩など気分転換を提案することも有効です。症状が頻繁で本人が強い不安を感じる場合は、主治医に相談して適切な薬物療法を検討することも必要です。
Q4. 介護保険外サービスを利用する必要はありますか?
レビー小体型認知症では、介護保険サービスだけでは対応が困難な場面が多く発生します。特に夜間のレム睡眠行動障害や突発的な幻視による不安など、24時間の見守りや柔軟な対応が必要な症状があります。イチロウのような介護保険外サービスは、夜間帯も含めた24時間対応が可能で、症状の変動に合わせた臨機応変なケアを提供できます。また、介護保険では制限のある長時間の見守りや、要介護認定を受けていない初期段階の方でも利用できるメリットがあります。家族の介護負担軽減と本人の安全確保のため、介護保険サービスと組み合わせて活用することで、より充実した介護体制を構築できます。
