介護にまつわるお役立ちコラム
介護で睡眠不足に!在宅介護でゆっくり眠れない場合の対策を解説

在宅介護をしていると、夜間も介護が必要となり、十分な睡眠が取れずに疲れが溜まってしまうことがあります。睡眠不足が続くと介護の質が低下するだけでなく、介護者自身の健康にも悪影響を及ぼします。
この記事では、在宅介護による睡眠不足の原因を理解し、介護者と要介護者双方の睡眠の質を高める方法、さらに外部サービスを活用した睡眠時間確保の方法までを詳しく解説します。
1在宅介護による睡眠不足の実態とその影響

在宅介護において、夜間の睡眠不足は深刻な問題です。要介護者が夜中に起きてくることで、介護者も共に起きなければならず、常に睡眠不足の状態に陥りがちです。また、「いつ起きてくるだろう」という心配から、寝つきが悪くなり、睡眠の質も低下してしまいます。
介護者が直面する夜間の睡眠トラブルの種類
介護者が夜間に経験する睡眠トラブルにはさまざまなパターンがあります。
睡眠トラブルの種類 | 状況 | 介護者への影響 |
要介護者の夜間覚醒 | 認知症の方が夜中に起きて家の中を徘徊(うろうろ)する | 介護者も一緒に起きて見守りが必要、睡眠が分断される |
トイレ介助の頻度 | 夜間に何度もトイレに行く必要がある | 介護者も何度も起きて付き添いが必要、深い睡眠に入れない |
介護者自身の不安 | 要介護者の状態悪化や事故への心配 | 常に気が張り、寝つきが悪くなる、浅い眠りになる |
認知症関連の行動 | 昼夜逆転、徘徊、妄想などの症状 | 予測不可能な対応が必要で、睡眠の計画が立てられない |
特に夜間のトイレ介助の頻度が高く、認知症の方が一人でトイレに行けない場合は、毎回介護者が付き添って介助する必要があります。これにより、介護者の睡眠は何度も中断されてしまいます。
慢性的な睡眠不足が介護者の心身に与える影響
長期間にわたる睡眠不足は、介護者の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
まず身体的な影響として、疲労が蓄積し免疫力が低下します。これにより風邪などの感染症にかかりやすくなるだけでなく、慢性疾患のリスクも高まります。また、睡眠不足が続くと体にストレスがかかり続け、血圧が上がったり、心臓に負担がかかったりします。「最近疲れが取れない」「頭痛がする」「肩こりがひどい」といった症状は、睡眠不足のサインかもしれません。
精神面では、ストレスレベルが上昇し、イライラや集中力の低下が生じます。さらに深刻になると、うつ病や不安障害を発症するリスクも高まります。「常に疲れている」「何もする気が起きない」といった状態が続くと、介護への意欲も失われてしまいます。
日中の機能にも影響し、集中力や判断力が低下するため、仕事や日常生活にも支障をきたします。記憶力も低下するため、服薬管理など重要な介護タスクのミスにつながる恐れもあります。
睡眠不足が介護の質低下を招くリスク
介護者の睡眠不足は、要介護者へのケアの質にも直接影響します。睡眠不足による疲労の蓄積は、注意力や判断力を鈍らせてしまう恐れがあるからです。
例えば判断力の低下により、投薬ミスや転倒事故などのリスクが高まります。疲労から反応速度が遅くなり、要介護者が転倒しそうになった時などに適切に対応できなくなる可能性もあるでしょう。
また、睡眠不足によるイライラや感情コントロールの困難さは、要介護者との関係性悪化を招きます。思わず強い口調で話してしまったり、介護にイライラを持ち込んでしまったりすることで、信頼関係が損なわれる恐れがあります。
さらに、介護へのモチベーション低下により、必要なケアが疎かになったり、コミュニケーションが減少したりする可能性があります。最悪の場合、介護者自身の体調悪化により介護の継続自体が困難になることもあります。
2高齢者が夜間に眠れなくなる主な原因

要介護高齢者が夜間に眠れなくなる原因は多岐にわたります。これらの原因を理解することが、効果的な対策を立てる第一歩となります。
加齢による体内時計の変化と睡眠パターンの乱れ
高齢になると、自然に体内時計や睡眠のパターンに変化が生じます。
年齢を重ねるにつれて、睡眠の質と量は変化します。総睡眠時間が減少し、特に深い睡眠(ノンレム睡眠)の割合が減ることで、睡眠の質が低下します。また、高齢者には早朝覚醒や夜中に何度も目覚める中途覚醒が増加する傾向があります。
これらの変化は、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌量低下が原因の一つです。メラトニンは体内時計を調節する重要なホルモンですが、加齢とともに減少するため、体内リズムが乱れやすくなります。
高齢者の睡眠サイクルには、浅い眠りの増加やレム睡眠(夢を見る睡眠)の減少といった特徴があります。これにより、少しの物音でも目覚めやすくなり、一度目覚めると再び眠りにつくのに時間がかかりやすくなります。
日中の活動量不足による睡眠障害の発生メカニズム
日中の活動不足は、夜間の睡眠に直接影響します。
活動量と睡眠の質には密接な相関関係があります。日中に十分な身体活動がないと、体が疲れず、夜になっても眠気を感じにくくなります。特に高齢者は外出や活動の機会が減少しがちで、一日中家の中で過ごすことも少なくありません。
また、日光浴の不足も体内時計の乱れを招きます。太陽光を浴びることで体内時計がリセットされますが、室内で過ごす時間が長いと、このリセット機能が働きにくくなります。
日中の覚醒度と夜間の睡眠には密接な関連があり、日中にうとうとして過ごすことで、夜間の睡眠不足につながる悪循環が形成されます。テレビを見ながらうとうとしたり、昼寝の時間が長すぎたりすると、夜になって眠れなくなる原因となります。
運動不足による身体的疲労感の欠如も睡眠を妨げる要因となります。適度な運動は自然な疲労感をもたらし、良質な睡眠を促進しますが、運動不足ではこの効果が得られません。
認知症高齢者に特有の夜間の不眠と徘徊行動
認知症を持つ高齢者には、特有の睡眠問題と行動特性があります。
認知症による昼夜逆転現象は、脳の機能低下により体内時計の調節能力が失われることで起こります。日中は眠気が強く、夜になると逆に活動的になるという生活リズムの逆転が生じます。
認知症の進行段階と睡眠障害には関連性があり、認知症が進行するほど睡眠障害も悪化する傾向にあります。記憶障害や見当識障害(時間や場所がわからなくなる)が進むと、「今は夜だから寝る時間」という認識自体が困難になります。
夜間の徘徊行動は認知症の代表的な症状の一つです。不安や混乱、トイレを探す、何かを探している、過去の習慣(仕事に行く準備をするなど)などが原因となり、夜中に起き出して家の中を歩き回るようになります。この行動への対応は介護者にとって大きな負担となります。
また、認知症に伴う不安や混乱は、安心して眠りにつくことを難しくします。見慣れない環境や人、夜間の暗さなどが恐怖や不安を引き起こし、睡眠を妨げる要因となります。
3介護者と要介護者双方の睡眠改善のための具体策

在宅介護での睡眠問題を改善するためには、日常生活での工夫が重要です。
ここでは、自宅での自助努力による改善策を紹介します。
日中の過ごし方を見直して良質な睡眠を促す方法
日中の活動パターンを調整することで、夜間の睡眠の質を高めることができます。
方法 | 具体的な取り組み | 期待される効果 |
外出の機会を増やす | 毎日15分程度の散歩、買い物に一緒に行く | 日光浴による体内時計の調整、適度な疲労による入眠促進 |
趣味活動を行う | 園芸、編み物、塗り絵など好きな活動を毎日決まった時間に実施 | 脳の活性化、達成感による精神安定、生活リズムの形成 |
デイサービスを活用 | 週3〜5回のデイサービス利用、プログラムへの積極参加 | 社会交流による刺激、専門的な運動指導による適切な疲労 |
コミュニケーションの機会を増やす | 家族との会話時間の確保、近所の方との交流 | 孤独感の軽減、脳の活性化、日中の覚醒維持 |
具体的な実践例として、朝は7時に起床して朝日を浴び、午前中に軽い家事や散歩を行います。昼食後の短い昼寝(30分以内)は許容範囲ですが、それ以上長く寝ないようにします。午後はデイサービスや趣味の時間とし、夕方以降はリラックスできる活動に切り替え、就寝2時間前からはテレビやスマートフォンなどの強い光を避けるという一日のスケジュールが効果的です。
夜間のトイレ対策で介護者の起床回数を減らすコツ
「また夜中にトイレに起こされるのかな…」という不安は、介護をする人だけでなく、介護される側も同じように感じています。「また家族を起こしてしまって申し訳ない」という気持ちを抱えながら眠ることは、とても辛いものです。少しの工夫で、お互いがぐっすり眠れる可能性があるため、ここで確認しておきましょう。
夜間のトイレ対策は、水分摂取のタイミングと量の調整が基本となります。日中(特に午前中)は積極的に水分を摂り、夕方以降は必要最小限に抑えるようにします。就寝2〜3時間前からの水分摂取は特に控えめにすることで、夜間のトイレ回数を減らせる可能性があります。
夕方以降は、カフェインを含む飲み物(緑茶、コーヒー、紅茶など)やアルコール、利尿作用のある飲食物は避けるべきです。これらは排尿を促進するだけでなく、睡眠の質も低下させます。
排泄管理のための実用的なスケジュールとしては、就寝前の最後のトイレを習慣化し、その後は水分摂取を避けます。また、日中のトイレ排泄を規則的にすることで、体内リズムを整えることも効果的です。夜間のトイレ介助を楽にする補助用具としては、ポータブルトイレの設置が有効です。寝室にポータブルトイレを置くことで、トイレまでの移動の負担が軽減されます。また、尿取りパッドや紙おむつの使用も検討する価値があります。
睡眠環境の整備で要介護者の眠りを深くする工夫
介護を受ける方が深く眠れるようになると、夜中に起きる回数が減り、介護をする方もゆっくり休めます。ちょっとした環境づくりで、家族みんなが「よく眠れた」と感じられると、良い家族関係を保てるでしょう。
理想的な寝室の照明調整としては、就寝時はできるだけ暗くすることが基本です。しかし、夜間のトイレなどのために足元ライトを活用すると良いでしょう。足元だけを照らす間接照明やセンサー式のライトを設置することで、起きたときの安全を確保しながらも、睡眠を妨げない環境を作れます。
快適な睡眠のための温度・湿度管理も重要です。一般的に寝室の理想的な温度は18〜22℃、湿度は50〜60%程度とされています。特に高齢者は体温調節機能が低下していることが多いため、冬は冷えすぎず、夏は暑すぎない環境を整えることが大切です。
寝具の選び方も睡眠の質に大きく影響します。体圧分散性の高いマットレスは褥瘡(床ずれ)予防にも効果的です。季節に応じた調整として、夏は通気性の良い素材、冬は保温性の高い素材を選びます。また、体温調節がしやすいよう、掛け布団と毛布を別々にするなどの工夫も有効です。
4介護者の睡眠時間を確保するための外部サービスの活用法

自宅での工夫だけでは限界がある場合は、外部サービスを活用して介護者の睡眠時間を確保する方法も検討すべきです。
夜間対応型訪問介護サービスの選び方と利用のポイント
夜間対応型訪問介護サービスは、夜間の介護負担を軽減する効果的なサービスです。
サービスの具体的内容は、主に「定期巡回」と「随時対応」に分かれます。定期巡回では、あらかじめ決められた時間に介護職員が訪問し、安否確認やトイレ介助、おむつ交換、体位変換などを行います。随時対応では、緊急時に対応センターへ連絡すると、介護職員が駆けつけるシステムになっています。利用可能な時間帯は通常18時から翌朝8時までです。
利用条件としては、要介護1〜5の認定を受けていることが基本条件です。また、地域密着型サービスなので、サービス提供事業所と同じ市区町村に住んでいることが条件となります。
料金体系は主に「基本料金」と「サービス提供料」で構成されます。基本料金は月額で固定されており、サービス提供料は利用回数や内容に応じて変動します。介護保険が適用されるため、基本的には1〜3割の自己負担となります。
事業者選びで確認すべきポイントとしては、対応可能なエリアや時間帯、スタッフの経験や資格、緊急時の対応体制などがあります。また、サービス内容や料金体系も事業者によって異なるため、複数の事業者を比較検討することが重要です。
介護保険外サービス「イチロウ」の24時間対応で睡眠不足を解消

介護保険外サービス「イチロウ」は、介護による睡眠不足に悩む方々に24時間対応の柔軟なサービスを提供しています。イチロウの最大の特徴は、いつでも必要なときに利用できる点で、ヘルパー手配率96%という高い実績があります。
サービス内容は自宅内での介護(移動介助、排泄介助、食事介助など)から家事支援(掃除、洗濯、調理)、通院・外出付き添い、病院内の介護まで幅広くカバー。特に夜間の見守りや介護は、介護者の睡眠時間確保に直結します。認知症の方の夜間徘徊への対応や夜間のトイレ介助をイチロウのヘルパーが代行することで、介護者はぐっすり眠れるようになります。
料金体系はシンプルで、主に日中基本料金(9:00〜18:00)と夜間基本料金(18:00〜翌9:00)に分かれています。東京都などでは日中3,190円(税込)/時間、夜間3,828円(税込)/時間、愛知県では若干安く設定されています。当日予約の場合は基本料金の1.4倍となり、交通費は往復600円(東京都他)または500円(愛知県)が別途かかります。利用は1回2時間からで、初期費用や登録料は不要。必要な時に必要なだけ利用できる柔軟性があります。
イチロウには「介護コース」と「看護コース」があり、利用者のニーズに合わせて選択できます。介護コースは介護資格を持つヘルパーによる身体介護や生活援助が中心で、看護コースは看護師による医療的ケア(バイタル測定、たん吸引、経管栄養など)も含まれます。看護コースは現在東京23区のみで提供され、日中5,500円(税込)/時間、夜間6,600円(税込)/時間と設定されています。
ショートステイなど一時的に介護負担を軽減できるサービス
ショートステイなどの一時的なサービスを利用して、介護者の睡眠を確保する方法も効果的です。
ショートステイ(短期入所生活介護)は、介護施設に短期間宿泊して介護サービスを受けるサービスです。数日から1週間程度の利用が一般的で、その間介護者は介護から解放されて十分な休息を取ることができます。要支援・要介護認定を受けている方が対象で、介護保険が適用されます。
小規模多機能型居宅介護は、「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせた柔軟なサービスです。日中はデイサービスのように通所し、必要に応じて訪問介護を受けたり、施設に宿泊したりすることができます。24時間の安心感がある点が大きな特徴です。
デイサービスの延長サービスや夜間利用も検討価値があります。通常のデイサービスの時間を延長して、夕食後まで預かってもらえるサービスもあります。これにより、介護者は夕方から夜にかけての時間を自由に使うことができます。
これらのサービスを定期的に利用するパターンとしては、週末のみの利用(介護者がしっかり休息を取る時間を確保)、月に数日の利用(定期的な休息日の確保)、連続した1週間程度の利用(介護者の旅行や入院など)などが考えられます。定期的な利用により、介護者の睡眠不足が解消され、心身のリフレッシュになることが期待できます。
5限界を感じたときの次の一手:施設入居の検討

在宅介護による睡眠不足が限界に達した場合、施設入居を検討することは決して「あきらめ」ではなく、介護者と要介護者双方の健康と生活の質を守るための「合理的な選択肢」です。
長期的な介護において、介護者自身の健康を守ることは最も重要な要素の一つであり、睡眠不足の慢性化は深刻な健康リスクを伴います。施設入居を選択することで、専門的なケアを受けられるだけでなく、介護者も自分の生活と健康を取り戻すことができるのです。
在宅介護の限界を見極めるタイミング
在宅介護の限界を見極めるタイミングを認識することは非常に重要です。
介護者に見られる慢性的な疲労感、頭痛や腰痛の増加、頻繁なイライラや怒り、涙もろさ、持続する不安感や抑うつ感は、身体的・精神的限界のサインです。「もう限界」と感じる頻度が増えたら施設入居を検討すべき時かもしれません。また、仕事でのミスが増える、重要な約束を忘れる、家事が滞る、自分の健康管理ができなくなるなど、睡眠不足の慢性化による日常生活への支障も重要な判断材料となります。特に運転中などに危険を感じる場面が増えてきた場合は特に注意が必要です。
要介護者の状態変化も考慮すべき点で、認知症の進行に伴う徘徊や不穏の増加、暴言・暴力などの行動心理症状の出現、介助の困難さが増した場合は、専門的なケアが必要な段階に来ている可能性があります。担当の医師、ケアマネジャー、訪問看護師などから「施設入居を検討した方が良い」というアドバイスがあった場合は、その意見を真剣に受け止めるべきでしょう。
限界を感じてからではなく、余裕があるうちから施設入居の検討を始めることで、十分な情報収集や見学の時間が確保でき、入居待ちがある施設にも対応できます。また、要介護者と家族が心理的に準備する時間も得られ、より円滑な移行が可能になります。
睡眠不足解消の視点から選ぶ介護施設の種類
介護者の睡眠不足解消という視点から、各種介護施設の特徴と選択基準を理解しましょう。
施設の種類 | 特徴 | 対象者 | 睡眠不足解消の観点から見たメリット |
介護付き有料老人ホーム | 24時間介護スタッフが常駐、居室と共用スペースあり | 自立〜要介護5(施設による) | 夜間含め専門スタッフが常駐、緊急時の対応が迅速 |
住宅型有料老人ホーム | 居住機能が中心、介護は外部サービスを利用 | 自立〜要介護5 | 安否確認あり、必要に応じて外部サービス利用可能 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 見守りと生活相談が基本サービス | 主に自立〜要介護3程度 | 日中のスタッフ常駐、安否確認あり |
グループホーム | 認知症の方が少人数で共同生活 | 認知症の要支援2〜要介護5 | 認知症ケアの専門性、少人数で目が行き届く |
特別養護老人ホーム(特養) | 公的な施設、費用が比較的安い | 原則要介護3以上 | 24時間介護体制、費用負担が少ない |
介護老人保健施設(老健) | リハビリが充実、在宅復帰が目標 | 要介護1〜5 | 医療スタッフ常駐、専門的なケア提供 |
介護医療院 | 医療と介護の両方を提供 | 主に医療ニーズの高い要介護者 | 医療対応力が高く、夜間も医療スタッフ常駐 |
養護老人ホーム | 低所得者向け、比較的自立した生活 | 65歳以上の低所得者 | 安否確認あり、生活全般のサポート |
ケアハウス | 食事や生活支援サービスあり | 60歳以上、比較的自立した方 | 食事や掃除などの生活支援あり |
睡眠不足に悩む介護者にとって最適な施設タイプは、要介護者の状態や介護者の負担感によって異なります。認知症の症状が強く夜間の対応が困難な場合はグループホームや介護付き有料老人ホームが適しています。医療的ケアが必要な場合は介護医療院や医療体制の充実した介護付き有料老人ホームが良いでしょう。費用面が心配な場合は特別養護老人ホームが選択肢となりますが、入居待ちがあることを考慮する必要があります。
早めの情報収集と準備で理想的な施設入居を実現する方法
施設入居をスムーズに進めるためには、事前準備と情報収集が欠かせません。
ステップ | 実施時期の目安 | 準備内容 |
情報収集 | 集入居希望の1〜2年前から | 施設の種類や特徴の理解、地域の施設リストアップ、インターネットや介護相談センターでの情報収集 |
施設見学 | 入居希望の6ヶ月〜1年前 | 複数の施設見学、スタッフの対応や施設の雰囲気確認、質問リストの準備、可能であれば食事や体験入居も検討 |
入居申込み | 入居希望の3〜6ヶ月前 | 必要書類の準備(介護保険証、診断書など)、入居条件の確認、待機状況の確認、複数施設への申込み検討 |
費用計画 | 情報収集と並行して | 入居一時金や月額費用の確認、支払い計画の作成、介護保険制度や公的補助の確認、必要に応じて資産の見直し |
入居準備 | 入居決定後〜入居まで | 持ち込み品の選定と整理、必要な手続き(住所変更など)、医療情報の整理、入居後の面会計画の作成 |
6まとめ
在宅介護での睡眠不足は介護者と要介護者双方の健康に深刻な影響を与える問題です。日中の活動量を増やす、夜間のトイレ対策を工夫する、睡眠環境を整えるなどの基本的な対策から始め、外部サービスを活用して介護負担を分散させることも効果的です。
しかし、それでも限界を感じる場合は、施設入居を前向きな選択肢として検討しましょう。早めの情報収集と準備により、最適な施設選びが可能になります。介護者自身の健康を守ることが、長期的には要介護者にとっても最善のケアにつながることを忘れないでください。
7よくある質問
在宅介護による睡眠不足でお悩みの方からは、「どの程度の睡眠不足なら我慢すべきか」「夜間対応サービスの利用方法」「認知症の夜間徘徊への対処法」など、具体的で切実なご相談を多くいただきます。
ここでは、介護による睡眠不足に関してよく寄せられる質問について、お答えします。
Q1. どの程度の睡眠不足が続いたら限界のサインでしょうか?
睡眠不足が2週間以上続き、日常生活に支障が出始めたら要注意です。具体的には、頭痛や腰痛の増加、頻繁なイライラ、仕事でのミス増加、運転中の危険を感じる場面の増加などが見られる場合は限界のサインです。また、「もう限界」と感じる頻度が週に3回以上ある場合や、自分の健康管理ができなくなってきた場合は、外部サービスの利用や施設入居を真剣に検討すべき時期です。早めの対策により介護者自身の健康を守ることが、長期的には要介護者にとっても最善のケアにつながります。
Q2. 夜間対応型訪問介護サービスはどうやって利用できますか?
夜間対応型訪問介護サービスの利用には、まず要介護1〜5の認定が必要です。ケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらうことから始めます。サービス内容は定期巡回(決められた時間の訪問)と随時対応(緊急時の対応)があり、18時から翌朝8時まで利用可能です。料金は基本料金と実際のサービス提供料で構成され、介護保険が適用されるため1〜3割の自己負担となります。地域密着型サービスなので、同じ市区町村内の事業所を選ぶ必要があります。まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しましょう。
Q3. 認知症の親が夜中に徘徊して困っています。どう対処すればよいですか?
認知症の夜間徘徊は、不安や混乱、トイレを探している、過去の習慣(仕事の準備など)が原因となります。対策としては、日中の活動量を増やして疲労感を促進し、夕方以降はリラックスできる環境を整えることが基本です。また、足元ライトの設置で安全を確保し、トイレの場所を分かりやすく表示するなどの環境整備も効果的です。しかし、徘徊が頻繁で介護者の睡眠が大幅に妨げられる場合は、夜間対応の訪問介護サービスやイチロウのような24時間対応サービスの利用を検討し、介護者の休息時間を確保することが重要です。
Q4. 介護保険外サービスの利用は経済的に負担が大きくないでしょうか?
介護保険外サービスは全額自己負担となりますが、毎日利用する必要はなく、週末だけや介護者の体調不良時のみなど、必要に応じた柔軟な利用が可能です。介護者が体調を崩して入院した場合の費用や、介護離職による収入減少を考慮すると、予防的な投資として考えることもできます。まずは短時間から試してみることをおすすめします。
Q5. 施設入居を検討すべきタイミングはいつでしょうか?
施設入居を検討すべきタイミングは、介護者の睡眠不足が慢性化し、日常生活に深刻な支障が出始めた時です。具体的には、夜間の対応が週3回以上必要で改善の見込みがない、介護者自身の健康状態が悪化している、要介護者の認知症が進行し専門的ケアが必要になった場合などです。重要なのは限界を感じてからではなく、余裕があるうちから情報収集を始めることです。施設見学や入居申し込みには時間がかかるため、入居希望の1〜2年前から準備を始めることで、理想的な施設選びが可能になります。