介護にまつわるお役立ちコラム

介護保険証(介護保険被保険者証)とは?有効期限や再発行手続きについても解説

2025年05月15日

高齢化社会の日本において、介護サービスを利用する際に必要不可欠となる「介護保険証」。しかし、実際にどのような役割を持ち、いつ必要になるのか、有効期限はどうなっているのかなど、疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、介護保険証(介護保険被保険者証)の基本的な知識から、有効期限の確認方法、紛失した場合の再発行手続きまで、わかりやすく解説します。介護保険証について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1介護保険証(介護保険被保険者証)とは

介護保険制度において、正式名称は「介護保険被保険者証」といいます。一般的に「介護保険証」と略されることが多いですが、公的文書や行政手続きでは「介護保険被保険者証」という正式名称が使用されています(以下、「介護保険証」と表記)。介護保険証は、65歳以上の第1号被保険者と40歳から64歳までの特定疾病がある第2号被保険者に交付される公的な身分証明書です。

 

介護保険証は介護保険加入者の身分証明書であり、被保険者番号や要介護度などの情報が記載されています。要介護認定申請時、介護サービス利用時、施設入所時、関連医療機関受診時など様々な場面で提示が必要です。介護保険被保険者証は介護サービスを円滑に受けるための重要書類であり、破損や紛失を防ぐため適切に保管しなければなりません。

 

参照:厚生労働省|介護保険制度について

介護保険証と健康保険証の違い

介護保険証と健康保険証は、発行元・目的・対象者が異なる重要な証書です。健康保険証は健康保険組合や協会けんぽなどが発行し、医療機関での診療費用を保障するもので、全年齢の被保険者とその扶養家族が対象です。

 

一方、介護保険証は市区町村が発行し、介護サービス利用時の本人確認と負担割合確認のために使用され、主に65歳以上の方や40〜64歳で特定疾病(とくていしっぺい)のある方が対象となります。

 

特定疾病とは、以下を指します。

  • がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※
    【パーキンソン病関連疾患】
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症※
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

参考:厚生労働省「特定疾病の選定基準の考え方」

 

医療と介護の連携が必要な場合は両方の提示が求められますが、一般的な通院時には健康保険証のみ、デイサービスなどの介護サービス利用時には介護保険証のみが必要です。特に混同されやすいのは使用場面であり、医療サービスと介護サービスは別制度のため、それぞれの場面で適切な保険証を提示することが重要です。

介護保険証に記載されている情報

介護保険被保険者証には、被保険者を特定するための基本情報として、被保険者番号、氏名、生年月日、性別、住所、保険者番号(市区町村の番号)、交付年月日が記載されています。要介護認定を受けると、要介護状態区分(要支援1・2、要介護1〜5)、認定有効期間(開始日と終了日)、居宅サービス等の区分支給限度基準額、負担割合(1割、2割、3割)といった情報が追加されます。

 

確認すべき重要ポイントは、特に認定有効期間と負担割合です。認定有効期間が切れると介護サービスが利用できなくなるため、更新時期に注意が必要です。

 

また負担割合は所得に応じて変わることがあるため、定期的な確認が大切です。さらに住所変更や氏名変更があった場合は、記載内容の更新手続きが必要となります。

2介護保険証の交付対象者と交付条件

介護保険証の交付対象者について、以下の表で第1号被保険者と第2号被保険者の違いを比較します。

項目第1号被保険者第2号被保険者
対象年齢65歳以上40歳以上65歳未満
交付条件65歳に達した時点で自動的に交付特定疾病によって支援や介護が必要と判断された場合のみ申請手続き後に交付
介護サービス利用条件要介護認定を受ける必要がある(自立、要支援1~2、要介護1~5のいずれかに分類)老化に起因する疾病(特定疾病)が原因で要介護・要支援に認定された場合のみ
保険料支払い市区町村が徴収健康保険料と一緒に徴収
サービス内容居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスが利用可能第1号被保険者と同じサービスが利用可能

65歳を境に、介護保険制度への関わり方は変わります。65歳以上の第1号被保険者は年齢条件のみで全員が被保険者となり、自動的に介護保険証が交付されます。一方で、65歳未満の第2号被保険者は特定疾病という限定的な条件下でのみ介護サービスを利用でき、申請して認定された場合にのみ介護保険証が交付されます。

 

交付方法は基本的に郵送で、第1号被保険者は自治体から誕生月前後に送付され、第2号被保険者は認定結果と共に送付されるのが異なる点です。

65歳以上の第1号被保険者への交付

65歳以上の方は、第1号被保険者として住民登録のある市区町村から自動的に介護保険証(介護保険被保険者証)が交付されます。交付のタイミングは通常、65歳の誕生日の前月で、特に申請手続きは不要です。介護保険証は原則として郵送で自宅に届きますが、自治体によっては窓口での受け取りを案内する場合もあります。

 

交付後は、氏名や住所などの記載内容が正確かどうか確認し、特に転居した場合は14日以内に新しい住所地で介護保険証の手続きが必要です。

 

また、要介護認定は自動的には行われないため、介護サービスを利用したい場合は別途申請が必要となります。介護保険証は介護制度利用の基本となる大切な証書ですので、紛失しないよう適切に保管しましょう。

40歳~64歳の特定疾病がある第2号被保険者への交付

40歳~64歳の方は、医療保険に加入していることを前提に、特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合のみ第2号被保険者として介護保険証が交付されます。

 

介護保険証の交付を受けるには、まず市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで要介護認定の申請を行う必要があります。申請時には、介護保険要介護認定申請書、主治医の意見書(診断書)、医療保険証のコピー、本人確認書類などが必要です。

 

認定審査で要介護・要支援と判定されると、介護保険証が交付されます。この審査では特定疾病と要介護状態の因果関係も確認されます。

3介護保険証の有効期間と要介護認定

介護保険証(介護保険被保険者証)と要介護認定の有効期間は別の概念です。介護保険証自体は、第1号被保険者(65歳以上)の場合、基本的に資格喪失(死亡、転出など)がない限り継続して有効です。一方、要介護認定の有効期間は、初回認定で原則6か月、更新認定で原則12か月(最長48か月)と期限が設けられています。

 

認定期間が切れると、介護保険証自体は有効でも、介護サービスが利用できなくなります。つまり、介護保険証は「介護保険の加入者である」ことを証明し、要介護認定は「どのレベルの介護が必要か」を示す別の判定です。認定期間満了の60日前から更新申請が可能で、期限切れ前の申請が推奨されます。

 

もし期限が過ぎても、再度申請すれば認定を受けられますが、その間はサービス利用が制限されるため注意が必要です。認定更新時には、介護保険証に新たな有効期間と要介護度が記載されます。

介護保険証自体の有効期限

介護保険証(介護保険被保険者証)自体には基本的に有効期限が設けられていません。これは健康保険証とは異なり、資格喪失事由(死亡、転出、第2号被保険者の場合は65歳到達や医療保険資格喪失など)が発生しない限り、継続して有効であることを意味します。

 

ただし、介護保険証に記載される「認定有効期間」は要介護・要支援認定の期限を示すもので、この期間が過ぎるとサービス利用はできなくなりますが、介護保険証自体は無効にはなりません。

 

介護保険証が無効になるのは、別の市区町村へ転出した場合(新しい住所地で再交付される)、被保険者が死亡した場合、第2号被保険者が65歳に達して第1号被保険者になる場合(新たに第1号被保険者としての介護保険証が交付される)などに限られます。

要介護認定の有効期間と更新方法

要介護認定の有効期間は「認定の有効期間」として介護保険証に明記されており、新規申請の場合は原則6ヶ月、更新申請で状態に変化がない場合は原則12ヶ月(最長48ヶ月まで延長可能)と設定されています。

 

更新手続きは有効期間満了日の60日前から満了日までの間に行うことができ、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで受け付けています。更新に必要な書類は、更新申請書、主治医意見書作成のための受診案内、現在の介護保険証などです。

 

申請後は、主治医意見書の作成、認定調査員による訪問調査、介護認定審査会での審査を経て新たな認定結果が通知されますが、この一連の流れには通常1~2ヶ月程度かかります。そのため、有効期間満了の1~2ヶ月前には余裕をもって申請を行い、サービス利用の空白期間が生じないよう注意することが重要です。

4介護保険証で利用できるサービスと負担割合

介護保険証(介護保険被保険者証)は、介護サービスを利用するための基本的な身分証明書ですが、介護保険証を持っているだけではサービスを利用できません。必ず要介護認定(要支援1・2、要介護1~5)を受け、その認定結果に基づいて初めてサービスが利用可能になります。

 

介護保険でカバーされるサービスは、居宅サービス(訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など)、施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)、地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護など)の大きく3種類に分けられます。これらのサービスは原則として1~3割の自己負担で利用でき、認定された要介護度に応じた支給限度額の範囲内でサービスが提供されます。

 

負担割合は所得に応じて決定され、介護保険証には「負担割合」が明記されています。一般的には1割負担ですが、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。この仕組みにより、要介護状態になった場合でも、比較的低い負担でサービスを受けられる経済的メリットがあります。

 

ただし、これらのサービスはあくまでも要介護認定を受けた方のみが利用できるものであり、認定なしでは介護保険証があっても利用できません。

介護保険サービスの種類と内容

介護保険サービスの種類と介護度による利用可能サービスの違いは下表の通りです。

種類定義主なサービス
居宅サービス現在の家に居住しながら受けるサービス・訪問サービス
・通所サービス
・短期入所サービス など
施設サービス介護保険施設に入所して受けるサービス・介護老人福祉施設
・介護老人保健施設
・介護医療院 など
地域密着型サービス同市区町村に居住する高齢者に提供されるサービス・小規模多機能型居宅介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回
・随時対応型訪問介護看護 など

介護保険サービスでは、居宅サービスや地域密着型サービスは介護度別に定められた支給限度額までが1~3割の自己負担となり、限度額を超えた分は全額自己負担です。

 

一方、施設サービスは支給限度額の概念がなく月額定額制が適用されます。要支援1・2の方は介護保険サービスに加えて市区町村が実施する総合事業も利用できます。

 

また、福祉用具購入や住宅改修については、介護度別の支給限度額とは別に年間の限度額が設けられています。

  • 居宅サービスの特徴と利用方法

居宅サービスとは、介護が必要な方が自宅で生活を続けながら受けられる介護保険サービスです。居宅サービスは大きく分けて、以下に分類されます。

  • 訪問サービス(訪問介護、訪問看護、訪問入浴介護など)
  • 通所サービス(デイサービス、デイケアなど)
  • 短期入所サービス(ショートステイ)
  • そして福祉用具貸与や住宅改修

これらを組み合わせることで、自宅での生活を可能な限り継続できるよう支援する仕組みとなっています。

 

居宅サービスを利用するには、まず要介護認定を受けた後、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー事務所)に依頼してケアマネジャーを選びます。選んだケアマネジャーが利用者の状態や希望を聞き取り、それに基づいてケアプラン(居宅サービス計画書)を作成します。このケアプランに沿って、各サービス事業者と契約を結び、サービスの利用が始まります。ケアマネジャーへの相談やケアプラン作成費用は介護保険でカバーされるため、利用者の自己負担はありません。

 

居宅サービス利用の注意点としては、介護度ごとに定められた支給限度額の範囲内でサービスを組み合わせる必要があることが挙げられます。限度額を超えるとその分は全額自己負担となります。

 

また、効果的な活用法としては、家族の介護負担を考慮しながら、通所サービスと訪問サービスをバランスよく組み合わせることが重要です。さらに、状態の変化に応じてケアプランを見直すことで、より自立した生活を送るための支援が可能になります。居宅サービスは、住み慣れた自宅で自分らしい生活を続けるための重要な支援ツールです。

  • 施設サービスの特徴と利用方法

施設サービスとは、自宅での生活が困難になった要介護者が入所して24時間体制で介護や医療、生活支援を受けられる介護保険サービスです。利用には原則要介護1以上の認定が必要で、特別養護老人ホームは要介護3以上が対象となります。

 

入所希望者はケアマネジャーに相談し、施設見学、入所申込み、入所判定会議を経て入所が決まります。待機期間が生じる場合もあるため、早めの情報収集と複数施設への申込みしておくと良いでしょう。

 

各施設の特徴は下表の通りです。

施設の種類主な特徴対象者医療体制退所後の方向性
介護老人福祉施設生活介護中心、終身利用可能原則要介護3以上看護師常駐、医師は非常勤長期・終身型
介護老人保健施設リハビリ中心、在宅復帰が目標要介護1~5医師・看護師常駐在宅復帰を目指す中間施設
介護医療院医療ケアと生活支援の両立要介護1~5(医療依存度が高い方)24時間医師・看護師体制長期療養型
特定施設入居者生活介護居住環境重視、サービス充実要支援・要介護施設により異なる長期居住型
  • 地域密着型サービスの特徴と利用方法

地域密着型サービスは、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう、2006年の介護保険法改正で創設された小規模かつ身近な介護サービスです。

 

小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などが含まれます。最大の特徴は利用条件が厳格に制限されており、原則として住民票のある市区町村内の事業所しか利用できません。これは、地域の特性に応じたきめ細かなサービス提供と、地域単位での事業所指定・監督体制の確立を目的としています。

 

また、サービスの運営や評価に地域住民や利用者が参加できる仕組みがあり、地域コミュニティとの繋がりを重視しています。これらのサービスは、高齢者が住み慣れた地域での生活を可能な限り長く続けられるよう、地域の実情に合わせた柔軟なケアを提供する点が他のサービスと大きく異なります。

介護保険の自己負担割合の決まり方

介護保険サービスの自己負担割合は、利用者の所得状況に応じて1割、2割、または3割と設定されています。基本的には1割負担が原則ですが、一定以上の所得がある方は2割または3割の負担です。

出典:厚生労働省|給付と負担について(参考資料)

 

具体的には、65歳以上(第1号被保険者)の場合、合計所得金額が160万円以上の方は所得や世帯状況に応じて負担割合が上がります。単身世帯で年金収入とその他の合計所得が280万円以上、または2人以上の世帯で年金収入とその他の合計所得が346万円以上の方は2割負担となります。

 

さらに、単身世帯で340万円以上、2人以上世帯で463万円以上の場合は3割負担となります。この負担割合は毎年8月に見直され、「介護保険負担割合証」として市区町村から交付されます。この証書は介護サービス利用時に介護保険証と一緒に提示することが必要です。

5介護保険証の手続きと管理方法

介護保険証に関する手続きは、原則として住民登録のある市区町村の介護保険窓口で行います。主な手続きが必要となるケースには、住所変更(14日以内に転入先の市区町村で手続き必要)、氏名変更、保険証の紛失・破損(再発行申請が必要)、要介護認定の申請・更新などがあります。また、第2号被保険者が65歳になり第1号被保険者に変わる際にも手続きが必要です。

 

介護保険証の管理においては、健康保険証などの他の重要書類と一緒に保管し、サービス利用時に必要なため紛失しないよう注意が必要です。特に認知症の方の場合は、家族や成年後見人が適切に管理する必要があります。

 

また、更新時など新しい介護保険証が発行された際は、古い保険証は返却するか自身で破棄することが求められています。介護保険に関する各種通知や情報が届くよう、住所変更時には速やかに届け出ることも大切です。介護保険証は介護サービスを受けるための基本的な証明書であるため、適切な管理と必要な手続きの理解が重要です。

介護保険証の再発行方法と必要書類

介護保険証を紛失した場合は、速やかに市区町村の介護保険担当窓口で再発行手続きを行う必要があります。再発行申請には、介護保険被保険者証再交付申請書(窓口で配布)、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど顔写真付き身分証明書)、および印鑑が基本的に必要です。

 

本人が直接申請する場合はこれらの書類のみで手続き可能ですが、代理人が申請する場合は、委任状(本人の署名・押印あり)と代理人の本人確認書類も追加で必要となります。申請から交付までは通常1週間程度かかりますが、市区町村によっては即日発行可能な場合もあります。

 

なお、再発行後に紛失していた介護保険証が見つかった場合は、二重発行防止のため必ず窓口に返納する必要があります。

住所変更時の手続き方法と必要書類

介護保険証の住所変更手続きは、転居パターンによって手続き方法が大きく異なります。

 

大きく分けて以下の3つのパターンがあります。

  • 同一市区町村内での転居
  • 別の市区町村への転出
  • 施設入所

同一市区町村内での転居の場合は比較的簡単で、住民票の住所変更手続きと同時に介護保険担当窓口で住所変更届を提出します。別の市区町村への転出の場合は手続きがより複雑です。施設入所の場合は、住民票を施設住所に移すかどうかで手続きが変わります。

 

どのパターンの転居でも、手続きは原則14日以内に行う必要があり、特に介護サービスを利用中の場合は、ケアマネジャーへの連絡やサービス事業者の変更手続きなども必要になることがあります。

  • 同じ市区町村内での転居の場合

同じ市区町村内での転居は、介護保険に関して比較的簡単な手続きで済みます。まず、住民票の住所変更手続きを市区町村の住民課で行った後、同じ庁舎内にある介護保険担当窓口で介護保険証の住所変更届を提出します。必要書類は、現在お持ちの介護保険証、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど顔写真付きのもの)、および印鑑(自治体によっては不要の場合もあり)です。

 

本人が行けない場合は、委任状があれば家族などの代理人でも手続き可能です。手続き完了後、その場で新しい住所が記載された介護保険証が交付されるか、後日郵送されます。また、介護サービス利用中の方は、ケアマネジャーにも新住所を伝え、必要に応じて利用サービス事業者への連絡も行います。住所変更は住民票異動から14日以内に行うことが法律で定められています。

  • 別の市区町村への転居の場合

別の市区町村への転居は、保険者(市区町村)が変わるため、より詳細な手続きが必要です。転出前には、転出元の市区町村で転出届を提出すると同時に、介護保険担当窓口で介護保険証を返納します。要介護認定を受けている場合は、「介護保険受給資格証明書」の交付を受けることが重要です。この証明書により、転入先でも認定情報が引き継がれます。

 

転入後は、転入先の市区町村で転入届の提出と同時に、介護保険課窓口で新たな介護保険証の交付申請を行います。このとき、受給資格証明書、本人確認書類、印鑑が必要です。特に重要なのは、この手続きを転入から14日以内に必ず行うことです。期限を過ぎると要介護認定情報が正しく引き継がれず、認定が失効してしまうかもしれません。

 

認定が失効すると、新たに認定申請から始める必要があり、介護サービスの利用が一時的にできなくなる恐れがあります。また、ケアマネジャーや介護サービス事業者の変更手続きも忘れずに行いましょう。

  • 介護施設入居時の住所地特例制度

住所地特例制度とは、介護保険施設や特定施設に入所・入居した場合に、住民票を施設所在地に移しても、元の市区町村が引き続き保険者となる制度です。対象施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設入居者生活介護を提供する有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(一部)などが含まれます。

この制度の適用条件は、他の市区町村にある対象施設に入所し、住民票を施設所在地に移す場合です。

 

手続きとしては、転出前に元の市区町村で転出届と介護保険資格喪失届を提出し、転入先の市区町村では住所地特例対象施設への入所であることを申告します。これにより、施設所在地の市区町村ではなく、元の市区町村から介護保険証が交付されます。

 

住所地特例制度のメリットは、介護施設が集中する市区町村の財政負担を軽減し、施設整備を促進する点にあります。利用者にとっては、元の市区町村の介護保険料率や介護サービスの利用条件が継続するため、環境変化が少なく安心です。

 

ただし、要介護認定の更新や介護保険証の再発行などの手続きは元の市区町村で行う必要があるため、家族などの協力が重要になります。

 

参照:厚生労働省|住所地特例対象施設について

6介護保険外サービスの選択肢も|24時間対応のイチロウの訪問介護サービス

在宅介護には、介護保険適用外の柔軟なサービスも選択肢として存在します。

イチロウは、介護保険の制約にとらわれず、利用者一人ひとりのニーズに合わせたオーダーメイドの訪問介護・看護サービスを提供しています。喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアにも対応し、24時間365日、必要なときに必要な支援を受けられます。

 

利用方法も簡単で、登録から最短当日のサービス開始が可能です。介護保険サービスでは対応が難しい長時間の見守りや、家族全体への家事支援、急な外出の付き添いなど、幅広いニーズに応えます。仕事と介護の両立に悩む方や、柔軟なサポートを求める方に最適な選択肢です。詳細は公式サイトをご覧ください。

 

>>イチロウについて詳しく見る

7まとめ

介護保険証は高齢社会の日本で介護サービスを円滑に利用するための重要な身分証明書です。本記事では、正式名称「介護保険被保険者証」の基本的な役割から、交付対象者の条件、有効期間の考え方、利用できるサービスの種類と負担割合、各種手続き方法まで総合的に解説しました。

 

介護保険証自体は基本的に有効期限がないものの、サービス利用には要介護認定が必須であり、認定の更新は計画的に行う必要があります。介護が必要になったとき、または家族の介護に関わるときに、この知識が皆様の支えとなれば幸いです。適切な介護サービスの利用で、住み慣れた地域でその人らしい生活を続けられることを願っています。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
コラム一覧に戻る
icon_arrow_gotop