介護にまつわるお役立ちコラム
レスパイトケアとは?介護疲れを癒すサービスの概要や使い方・効果を解説

在宅介護が長期化する中で、介護者自身の心身の疲れが深刻な問題となっています。そんな介護の負担を軽減し、安心して一時的に休息をとるための仕組みが「レスパイトケア」です。介護者がリフレッシュすることで、より良い介護の継続にもつながるため、近年ますます注目されています。
本記事では、レスパイトケアの基本的な仕組みや目的、介護保険で利用できる各種サービス、自費での活用法、そして利用時の注意点までをわかりやすく解説します。介護疲れに悩むご家族や、支援策を探している方にとって、レスパイトケアの活用は大きな助けとなるはずです。
1レスパイトケアとは|介護疲れを防ぐための休息支援

レスパイトケアとは、家族などの介護者が一時的に介護から解放され、休息を取るための支援サービスです。「レスパイト(respite)」は英語で「休息」や「ひと休み」を意味し、介護による身体的・精神的な疲労から回復するための時間を提供します。
在宅介護では、家族が24時間365日休みなく介護を担うことが多く、その負担は計り知れません。休息を取る機会がないまま介護を続けると、介護者自身の健康状態が悪化したり、介護の質が下がったりする恐れがあります。
近年では介護分野だけでなく、育児や障がい者支援の分野でもレスパイトケアの重要性が認識されています。介護者の心身の健康を守り、長期的な介護を持続可能にするために、レスパイトケアは不可欠な支援だといえるでしょう。
レスパイトケアが必要とされる背景
在宅介護の長期化に伴い、介護者の身体的・精神的な疲労が深刻な問題となっています。特に高齢の配偶者による「老老介護」では、介護者自身も高齢であるため健康リスクが高まり、要介護者のケアに支障が出るケースが増加しています。また、介護に専念するあまり外部との交流が減少し、社会的に孤立することで介護うつや引きこもりなどの精神的問題を抱えるリスクも見過ごせません。
十分な休息が取れない状態が続くと、ついには介護の限界を超え、在宅介護の継続が困難になることもあります。高齢化が進む中、介護者の負担軽減は社会全体の課題であり、レスパイトケアはその解決策として注目されています。
レスパイトケアの主な目的
レスパイトケアの最大の目的は、介護者の心身の負担を軽減することです。一時的に介護から解放されることで、介護者は自分の時間を持ち、リフレッシュする機会を得られます。
また、介護を受ける側にとっても、専門職による適切なケアを受けることで状態が改善し、新しい環境で社会性を保つ効果も期待できます。多くの介護者は「自分だけが休んでいいのか」という罪悪感を抱きがちですが、介護者の休息は介護の質を高め、結果的に要介護者の生活の質も向上させます。
レスパイトケアは介護者と要介護者の双方が健やかに過ごすための支援であり、持続可能な介護環境を構築する上で欠かせないものとなっています。
2介護保険で利用できるレスパイトケアサービス
介護保険制度では、要介護者を介護している家族の負担を軽減するためのさまざまなレスパイトケアサービスを利用できます。レスパイトケアとは「介護者の休息」を目的とした支援で、時間単位の短いものから宿泊を伴う長期間のものまで、介護状況や必要に応じて選択可能です。
これらのサービスを計画的に活用することで、介護者自身の時間を確保し、心身の疲労を回復させられるでしょう。
時間単位で利用できる訪問系サービス
訪問系サービスは、専門のスタッフが自宅を訪問して提供するレスパイトケアです。訪問介護(ホームヘルプサービス)では、ヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助、通院等の介助を行います。
家族が特に負担に感じている作業を代わってもらうことで、心身の疲れを回復させる時間を取りやすくなります。
サービスの種類 | 具体的な内容 |
身体介護 | 入浴や食事の介護、おむつ交換などの排泄介助、衣類の着替え介助、体位変換、ベッド・車椅子への移乗 |
生活援助 | 調理や洗濯、掃除などの家事全般、本人の身の回りのサポート |
通院等乗降介助 | 通院時の乗降車の介助、病院での受診手続きや移動の介助、薬の受け取りなど |
訪問入浴介護では、看護師を含む3人チームが専用の浴槽を持参して入浴介助を行います。また、医療的ケアが必要な場合は、訪問看護や訪問リハビリテーションも利用可能です。これらのサービスは原則65歳以上で要介護1以上の方が対象となりますが、40~64歳でも特定疾病に該当する場合は利用できます。いずれにせよ、施設によって受け入れ条件が異なる場合があるため、詳細はケアマネジャーに相談しましょう。
※特定疾病については、下記の参考リンクの資料をご参照ください
日帰りで利用できる通所系サービス
通所系サービスは、日中に要介護者が施設に通い、介護サービスを受けるレスパイトケアです。デイサービス(通所介護)では、入浴や排泄、食事などの日常生活上の介護に加え、レクリエーションや機能訓練を行います。一方、デイケア(通所リハビリテーション)は医療機関や介護老人保健施設で、医師の指示に基づいたリハビリテーションが中心となる点が大きな違いです。
デイサービスの一日は、朝の送迎から始まり、健康チェック、体操やレクリエーション、入浴、昼食、午後の活動を経て、夕方に自宅へ送迎されます。プログラムには脳トレ、リズム体操、書道、カラオケなど多彩な内容が用意されています。施設までの送迎サービスがあるため、介護者は送り出した後に自由な時間を持つことができ、仕事や用事、休息に充てられるという大きなメリットがあります。利用対象は要介護1以上の方ですが、要支援1・2の方も「介護予防通所介護」として利用可能です。デイケアを利用する場合は主治医の指示書が必要となります。
宿泊を伴うレスパイトサービス
宿泊型のレスパイトケアは、介護者がまとまった休息を取るための重要なサービスです。ショートステイ(短期入所生活介護)は、特別養護老人ホームなどの介護施設に短期間入所して、食事・排泄・入浴などの日常生活のサポートや健康管理を受けるサービスです。医療的ケアが必要な場合は、医師や看護師が在籍する介護老人保健施設・病院などを利用する医療型ショートステイ(短期入所療養介護)が適しているでしょう。
利用期間は1泊から最大30日間まで連続して利用可能ですが、やむを得ない事情がある場合は延長が認められるケースもあります。要支援1以上の方が対象で、介護者の旅行や冠婚葬祭、体調不良や入院など、一時的に介護が困難な状況での活用に最適です。ショートステイ利用中は介護者が24時間以上介護から完全に解放されるため、心身ともにリフレッシュできる貴重な機会となるでしょう。
また、突然の体調不良など緊急時の受け入れにも対応している施設もあるため、日頃から近隣施設の情報を収集しておくと安心です。
その他の介護保険サービス
介護保険では、訪問・通所・短期入所以外にも介護者の負担を軽減できるサービスがあります。福祉用具のレンタル・購入サービスでは、介護ベッドや車いす、歩行器などを利用して要介護者の自立を促すとともに、介護者の身体的負担を軽減します。特に移乗や体位変換など腰への負担が大きい作業では、電動ベッドや移乗用リフトが役立つでしょう。
住宅改修サービスでは、手すりの設置や段差の解消、床材の変更、扉の取り換え、洋式トイレへの改修などが対象です。これにより要介護者の転倒リスクが減少し、介護者の見守りや介助の負担も軽くなります。間接的ではありますが、これらのサービスも介護者の負担軽減につながるレスパイトケアとして活用できるでしょう。
こうしたサービスを利用する際は、担当のケアマネジャーに相談し、ケアプランに組み込んでもらうことが重要です。介護環境を整えることで、長期的に安定した介護生活が送れるようになります。
3介護保険外のレスパイトケア

介護保険サービス以外にも、介護者の休息を支える選択肢はさまざまあります。介護保険の適用範囲外であっても、全額自己負担で利用できる便利な民間サービスや、医療的なケアが必要な方向けに医療保険を活用した入院制度が存在します。
さらに、介護者の急な体調不良や冠婚葬祭といった、予期せぬ状況に対応するための緊急時のレスパイトケアも重要です。
以下では、これらの介護保険外の選択肢について解説します。
自費で利用できる家事代行・配食サービス
介護保険適用外でも、レスパイトケアとして活用できる自費サービスが複数存在します。たとえば、家事代行サービスでは、料理や洗濯、掃除、買い物などを依頼することが可能です。また、外出が難しい方のために、理美容師が自宅を訪れる訪問理美容サービスもあります。
このほか、洗濯代行や、調理済みの食事を届けてくれる配食サービスを利用することで、日々の家事負担を軽くする方法も考えられます。これらのサービスはさまざまな事業者が提供しており、必要に応じて選択できます。
医療保険で利用できるレスパイト入院
医療的なケアが必要な方を対象に、医療保険を使って一時的に入院できるのがレスパイト入院です。この制度は、点滴や経管栄養、酸素管理など、医療依存度が高い方を病院が受け入れる仕組みであり、介護保険の介護度に関わらず利用を検討できます。
入院中は医師や看護師による医療的ケアが提供され、期間は通常1週間から2週間程度です。ただし、「病状が安定していること」など、病院ごとに受け入れ条件が定められているため、事前の確認が求められます。ショートステイとは異なり、医療処置が必要な場合に適しています。
緊急時のレスパイトケア
介護者の急な病気や、冠婚葬祭などで一時的に介護が難しくなった際にも、レスパイトケアは利用できます。緊急時には、ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)やレスパイト入院が選択肢となりえます。
これらのサービスを利用するには、通常ケアプランへの位置づけが必要ですが、緊急の場合は担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、医療機関の相談室などに速やかに相談しましょう。万一に備え、事前に相談先を確認しておくことが安心につながります。また、移動手段として介護タクシーなどの移送サービスも活用できます。
4レスパイトケアを利用する際の留意事項

レスパイトケアを上手に活用するために、いくつかの留意点があります。多くのレスパイトケアサービス、特にショートステイなどは、利用にあたり事前の予約が必要です。
また、普段と違う環境で過ごすことは、ご本人の体調や気持ちに影響を与える場合があるため注意が求められます。混乱したり食欲が落ちたりする可能性も考えられるでしょう。そのため、利用前にはサービス内容や施設の環境をよく確認することが大切です。施設の見学をしたり、不安な点はケアマネジャーや施設担当者に遠慮なく相談したりしましょう。
介護保険サービスを利用する際は、基本的にケアマネジャーが作成するケアプランに位置づける手続きが必要です。ケアマネジャーはサービス選びから利用中の相談まで、心強い味方となります。
5イチロウの介護サービスでレスパイトケアを

介護保険外のプライベートヘルパーサービス「イチロウ」は、介護者の休息を可能にする質の高いレスパイトケアを提供しています。介護保険制度では対応できない柔軟なサービス内容と、経験豊富な介護士によるオーダーメイドの介護サポートが特徴です。
自宅での介護・家事支援から通院付き添い、入院中の見守りまで、あらゆる介護ニーズに96%という高い手配率で応えています。特に夜間帯や急な依頼にも対応可能なため、緊急時のレスパイトにも頼りになるでしょう。専属のケアコンシェルジュが付き、サービス後にはレポートが送られてくるため、介護者は安心して休息時間を過ごせます。
8都市に展開中で、明確な料金体系(時間単価×利用時間+交通費)も魅力となっています。介護者がリフレッシュできる貴重な時間を確保するため、イチロウのサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
6まとめ
レスパイトケアは介護者の休息を支援する重要なサービスです。介護の長期化による身体的・精神的負担から介護者を守り、結果的に介護の質も向上させます。介護保険で利用できる訪問・通所・宿泊サービスから、自費の家事代行、医療保険でのレスパイト入院まで、状況に応じた選択肢が用意されています。介護者が「自分だけ休んでいいのか」と罪悪感を抱くことなく、定期的に休息を取り入れることで、長期的に良質な介護を継続できます。
介護は一人で抱え込むものではなく、社会全体で支えるものです。レスパイトケアを積極的に活用して、介護者自身の健康を守りながら、より良い介護環境を築いていきましょう。